寄生虫には、たとえばシラミのように皮膚の表面に寄生する体外寄生虫もありますが、ここでは人間の体内、主として消化管に生息して、何らかの害を及ぼすものについてお話してみましょう。

主な種類
1 回虫   2 ぎょう虫   3 アニサキス(外房に多い)

症状と駆虫剤
1 回虫
 回虫は比較的大型の寄生虫で、体長はオスが12〜20cm、メスが20〜30cmほどで、幅は4〜7mm位あります。
 回虫は、最近増加傾向にあります。
 症状は、腹痛、下痢、食欲不振などで、数が増えると口から成虫が吐き出されることもあります。
 普通、糞便を顕微鏡で検査します。
 駆虫剤としてパモ酸ピランテルなどがあります。体重10kgに1錠でだいたい根治します。
2 ぎょう虫
 ぎょう虫は、オスが2〜5mm、メスが8〜13cmほどで、盲腸や大腸など、消化管の終わりに近いあたりに寄生します。ぎょう虫の特徴は、メスが夜、肛門からはい出して卵を産むことです。このため、肛門周囲のかゆみが自覚症状の特徴です。ここを無意識に掻くと、爪の間や床、周辺などに卵が散らばり、本人やまわりの人に経口感染するのです。ぎょう虫は、学童に多く、集団生活の中で感染が広がることがあり、家族内感染もしばしば起こります。
 ぎょう虫は、検便で卵を見つけるよりも、肛門周囲のテープによる虫卵検査が実施され、患者発見に効果的です。
 治療薬は、回虫の場合と同じです。なお、普段からふとんを干したり、寝衣やシーツを洗濯するなどの配慮も大切です。
3 アニサキス
 千葉県は海に囲まれ、新鮮な魚を生のまま食べる機会が多く、サバ、イカ、ニシンなどが原因となって感染することがあります。
 アニサキスは、体長2〜3cm、幅0.4〜0.6mmの白糸のような寄生虫で、食後5時間ぐらいしてから、猛烈な腹痛、嘔吐を起こします。原因がアニサキスとわかれば、内視鏡を用いて虫を取り出せば、症状はウソのように治ります。ときには開腹手術が必要なこともあります。 対策は、加熱調理をすればよいのですが、アニサキスは冷凍にも弱く、2日間ぐらいで死滅するといわれています。
4 その他
 ペットは人間の友だちですが、犬、猫、小鳥などはそれぞれ固有の寄生虫を抱えています。最近、公園の砂場などの汚染が進み、犬などの飼い主の良識が問われる時代になっているようです。

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