最近では、多くの病院・診療所などから漢方薬が処方されるようになり、また一般用医薬品でも漢方薬は身近な存在になりました。漢方薬が医師などから処方される場合は、患者さんの状態をよく診断して処方しているので問題はありませんが、一般の方が薬局・薬店で漢方薬を購入する際には注意が必要です。薬剤師に十分相談してから購入するようにしてください。

漢方薬の起源
 漢方薬の始まりである中国では、地域によりそれぞれの医術が発展してきました。気候の変化が激しく、薬草が育つのに十分な環境でない地域では鍼灸療法などが発達し、また天然資源の豊富な地域では薬草を用いた治療がおこなわれました。そして、それら治療法は長い年月をかけて、それぞれ独自の理論により確立されてきました。この理論は現在の西洋医学で用いる診断・治療とは異なるものです。特に漢方薬の治療には“証”という概念が重要なものになります。

漢方薬の“証”とは?
 西洋医学では、いわゆる病名診断にもとづいて医薬品が選択されます。医療用医薬品の場合、医療機関で診断を受けて、その結果診断された病名に対して医薬品が処方されます。また、一般用医薬品では服用する方の症状(せき、鼻水、かゆみ、など)を中心に医薬品を選択することになります。
 しかし、先ほども述べたように、漢方薬では“証”が重要になります。この“証”は体格や体質、病気の時期により決定されるもので、“証”により使用する方剤が異なる場合もあります。漢方薬の服用では体全体のバランスを考慮していることから、“証”にあった漢方薬を服用していると、他に調子の悪かった部分も含めて体調全般が改善されるときがあります。しかし、体質(“症”)にあわない漢方薬を服用することで、症状が改善されないばかりか、かえって体調を崩すこともあります。薬局・薬店で漢方薬を購入するときには、薬剤師とよく相談してあなたにあった漢方薬を選んでください。

 

 

 

 

 

 

 

 

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