以前、新聞紙上に「漢方薬にも副作用!!」という記事が載ったことがあります。漢方薬には副作用がないと信じていた方はびっくりされたかもしれません。漢方薬には本当に副作用があるのでしょうか。

漢方薬独特、“証(しょう)”という考え方
 漢方薬は、患者の体質、病気の進行状況などを総合的に診て、その患者の“証”を決定します。その“証”によってお薬が決められます。ですから同じような症状の患者でも、体格の違い、体質の違いによって“証”が違ってきます。
 漢方薬は、その患者の現在の状態に対して決定されるオーダーメードなのです。
(例)太っていて体格の良い方が、「疲れる」といって、痩せた方に使う「八味丸」を飲んだら食欲がなくなって頭痛がした。…体と薬が合っていないのです。

漢方薬の副作用の出やすい人は
 漢方薬といえども副作用が全くないとは限りません。とくに次のような方は注意してください。
食事のバランスが良くない人
インスタント食品を常用している人
副腎皮質の働きが良くない人
自己判断で漢方薬を決め、品名指定をする人

どういうものが副作用が出やすいのでしょう
甘草・・・大量に使ったり、長期連用した場合、むくみ・低カリウム血症・血圧上昇など(偽アルドステロン症)を起こすことがあります。芍薬甘草湯等の他、多くの漢方薬に配合されています。
附子・・・量が多いときに熱感、ほてり、発汗などが認められることがあります。真武湯など。
川弓・・・胃腸障害として嘔吐、食欲不振などを起こすことがあります。葛根湯加川弓辛夷など。
地黄・・・軟便、食欲不振、胃部不快感、腹痛などが起きることがあります。八味地黄丸など。
当帰・・・食欲不振、胃部重圧感などの胃障害を起こすことがあります。当帰芍薬散など。

 普通、用いられる漢方薬では副作用といっても軽く、後遺症もありません。服用を中止すれば、あるいは何らかの処置をすれば副作用はたいてい短期間で消失します。

 

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